第11回 shirahata8国際アートクラブ「創る教室」@シェアトラックス宮崎台 レポート

白い壁と木のテーブルが並ぶ、静かな土曜の午前。シェアトラックス宮崎台の1階スペースが、今日も小さなアトリエに変わりました。
第10回 shirahata8国際アートクラブ「創る教室」――本日12月27日(土)のテーマは、「Canvaで“動く”デジタル年賀状デザインをしよう」。Instagramのリール投稿にもできて、LINEでも送れる。年明けの挨拶を、少しだけ“自分らしく”届けるためのワークショップです。
・どのようなイベントを開催されましたか?
はじめにお伝えしたのは、難しいことを完璧にやるよりも「まず触ってみる」こと。テンプレートを探して、写真や素材を選び、文字を入れて、余白を整える。基本の流れはシンプルですが、ここから先は人によって選ぶものがまったく違ってきます。同じ「年賀状」という枠があるのに、出来上がるものは驚くほどバラバラ。そこが今回の面白さでした。
制作の前半は、デザインの土台づくり。背景やモチーフを決めたら、文字の位置と読みやすさを整えます。ここでポイントになるのが「一枚の中で主役をひとつにする」こと。情報を詰め込みすぎると画面が散らかって見えてしまうので、“伝えたい言葉”を先に決めて、そこに合わせて他の要素を引き算していきます。参加者の皆さんも、最初は素材をたくさん置いてみて、そこから削っていく作業を楽しんでいました。
そして後半、いよいよ“動き”を加える工程へ。アニメーションを入れると、同じ配置でも印象が一気に変わります。ふわっと現れるのか、軽快に跳ねるのか、ゆっくり流れるのか。動かし方次第で、華やかにも、上品にも、遊び心たっぷりにもなる。画面上で要素が動いた瞬間、「わっ、かわいい!」「急にそれっぽくなった!」と小さな歓声が漏れました。難しそうに見える“動くデザイン”も、Canvaなら直感的に試せるので、みなさん迷いながらもどんどん手が進んでいきます。

・イベントにはどのような方が参加してくれましたか?
この日参加してくれたのは4名。年齢や経験もそれぞれで、最初の一言から空気が和らぎました。「年賀状を出す相手ってどんな人ですか?」「どんな気持ちを届けたい?」――そんな会話をはさみながら、画面の中で“新年の空気”を組み立てていきます。選ぶ色、文字の太さ、動きの速さ。小さな判断が積み重なるほど、その人の個性がにじみ出てくるのが不思議です。
完成に近づくにつれて、4人それぞれの年賀状がまったく違う表情になっていくのが印象的でした。色づかいが大胆で明るいもの、余白を活かした落ち着いたもの、モチーフの選び方にユーモアがあるもの。動きも、控えめにそっと揺れるタイプと、テンポよく楽しく見せるタイプで分かれ、「同じアプリを使っているのに、こんなに違うんだね」と自然に会話が生まれます。結果的に、4人とも“世界にひとつの動く年賀状”が完成。年末の忙しさの中でも、1時間で「送れる状態」まで仕上げられたことが、達成感につながっていました。
・なぜイベントを開催しようと思いましたか?
「創る教室」は、専門的な知識がなくても、アートやデザインを楽しめる場所をつくりたいという想いから始まりました。今は無料のAIツールやデザインアプリを活用することで、誰もが自分の世界観を発信できる時代です。けれど、便利なツールほど「どこから触ればいいか分からない」「自分にもできるのかな」と不安が先に立ちやすいもの。だからこそ、少人数で手を動かしながら、最初の一歩を踏み出せる場をつくりたい。shirahata8国際アートクラブでは、そんな“表現の入口”を支援する活動を続けています。
また、年賀状という文化は本来「気持ちを届ける」もの。そこに“動き”という要素を足すと、相手に届く印象がぐっと今の暮らしに合ってきます。紙だけに限らず、SNSやメッセージで自然に送れる形にすることで、挨拶のハードルが下がり、コミュニケーションが少しやさしくなる。そんな可能性も、この企画の背景にあります。
・イベントを終えてみて、いかがでしたか?
制作中は静かに集中し、ふとした瞬間に笑い声が弾む――そんなメリハリのある時間でした。特に盛り上がったのが、作った動画に音楽をつける場面です。音が入ると、同じ映像でも表情が変わる。しっとりした曲にすると上品にまとまり、軽快な曲にすると一気にポップになる。「音楽って、こんなに印象を動かすんだ」「この動きはこの曲が合うかも」――参加者同士で見せ合いながら、音の選び方でも遊べることを体感していました。視覚だけでなく、聴覚まで含めて“新年の空気”をデザインしていく感覚は、デジタルならではの楽しさです。
少人数の場だからこそ、つまずきはすぐに解消でき、できたらすぐに誰かに見せたくなる。学びがそのまま自信に変わっていくのを感じました。今日完成したのは、単なる作品ではなく、「自分の言葉と感性で、新年の挨拶を届けるための小さな道具」。参加者それぞれの年末と新年へ、軽やかに広がっていきそうです。

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